ALLERGY.アレルギー疾患
なかなか治らないかゆみのある湿疹、なかなか治らない鼻水・鼻閉、なかなか治らない夜間・早朝の咳、走るとゼーゼーするなどの症状は、アレルギー疾患の可能性があります。適切な診断と適切な治療、環境整備が非常に重要です。
まずはご相談ください。
アレルギー疾患について
一般社団法人日本アレルギー学会が運営するサイトです。アレルギー疾患の説明とよくある疑問も掲載してあります。アレルギーについては色々な情報があふれていますが、正しい知識を知って正しい対処法を知りましょう。アレルギーの御家族をお持ちの方、アレルギーが心配な方に是非お勧めします。
出典:一般社団法人日本アレルギー学会
ATOPIC DERMATITIS.アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは?
増悪と軽快を繰り返すかゆみのある湿疹を主病変とし、多くはアトピー素因をもつものとされています。
湿疹は左右対称性の分布を示す湿疹性の疾患で年齢により好発部位は異なります。
- 乳児期:頭、顔にはじまりしばしば体幹、四肢に下降
- 幼小児期:頸部、四肢関節部の病変
- 思春期・成人期:上半身(頭、頸、胸、背)に皮疹が強い傾向
乳児期あるいは幼児期から発症し小児期に寛解する場合が多いですが、一部の患者さんは再発を繰り返し、症状が成人まで持続します。
診断においてアレルギーの存在は必須ではありません。
アトピー素因とは?
- 家族歴・既往歴(気管支喘息 アレルギー性鼻炎 結膜炎 アトピー性皮膚炎のいずれかあるいは複数の疾患がある。ただし蕁麻疹は考慮しない。)
- IgE抗体を産生しやすい素因。
病態
アトピー性皮膚炎の原因はさまざまですが、体質と皮膚バリア機能が弱いことは大きな原因となります。
アトピー性皮膚炎では皮膚のセラミド含有率の異常な低下により、水分保持能力が失われドライスキンとなっています。表皮の異常により抗原(アレルゲン)が皮膚へ侵入しやすくなることで炎症が起き、過剰な免疫応答を引き起こすこととなります。
ドライスキンや炎症に伴い皮膚知覚神経が皮膚表面の角層直下にまで伸長することで痒み過敏となり、皮膚を掻き破ることで皮膚のバリアはさらに破綻されて悪循環が生まれ慢性的な状態となっていきます。
発症悪化因子
- 職場および日常生活環境における抗原や刺激物への曝露、ライフスタイルと温度や湿度といった環境因子。
- アトピー性皮膚炎の痒みの誘発・悪化因子として温熱、発汗、ウール繊維、精神的ストレス、食物、飲酒、感冒などが特に重要とされています。
治療
〈ご家庭でできることとして〉
- お風呂でのケアは大切です。石鹸やシャンプーを使用するときは洗浄力の強すぎるものはさけること、タオルを使わず泡で優しく丁寧に洗うこと(しわの間もしっかり)、かけ湯ではなくシャワーでしっかり洗い流すことが大切です。お湯の温度は皮脂をとりすぎないようにぬるめにします。
- 皮膚が乾燥しているようなら保湿剤を外用します。アトピー性皮膚炎のお子さまの場合は保湿剤と外用剤を併用します。保湿剤は1日最低2回は外用しましょう。
- 室内の環境整備も大切です。ダニ・カビ・ペットのフケや室内の乾燥は皮膚の悪化因子となりますので、こまめな掃除と適温適湿度を保ちましょう。
- 搔き壊しを防ぐため爪は短く切ってあげてください。
- まず寛解(何ら症状のないつるつるの状態)に持って行きます。
ステロイドを必要充分量で外用することが大切です。1回外用量FTU(フィンガーチップユニット:人差し指第1関節分=両手に2枚分の範囲)による適切な量のステロイド外用が大切です。見た目がきれいになってもすぐやめるのではなく、数日は同じ量で続けることが大切です。 -
つるつるになって悪化しないのを確認したら、寛解維持療法としてプロアクティブ療法の開始です。プロアクティブ療法とは皮膚症状が出ているときだけ外用療法をするのではなく、皮膚症状が良くなっていてもすぐ辞めずに外用回数や外用日の間隔をゆっくりあけて(1日2回から開始して皮膚がきれいになったら1日1回をしばらく継続の後、調子が良ければ1日おき・2日おき・1週間に1回というように)方法です。外用を減らすと悪化する部位は、すぐに元の外用方法に戻し、良くなったらゆっくり減らしていきます。皮膚炎の悪化を繰り返しステロイドの減量が難しいお子さんには、2歳以上の患者さんにはプロトピック軟膏(タクロリムス水和物軟膏)や乳児期から使用できるモイゼルト軟膏(ジファミラスト軟膏)・コレクチム軟膏(外用ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤)外用へ移行しステロイドの減量をしていきます。
使用する機器
上記外用療法でも皮疹のコントロールがうまくいかない中等症以上のアトピー性皮膚炎のお子さんに新しい治療として生物学的製剤 ミチーガ(ネモリズマブ)とデュピクセント(デュピルマブ)が適応となりました。外用薬ではなく注射薬剤です。なかなかアトピー治療がうまくいってないお子さんは当院へご相談ください。
2剤とも外用剤は中止せず継続します。適応に制限があります。まず問診と診察にて生物学的製剤の使用を決定いたします。
- ミチーガ(ネモリズマブ)
適応年齢6歳~
IL31を抑え、痒み治療に特化した製剤です。月1回の注射です。まずは4か月治療で効果判定します。 - デュピクセント(デュピルマブ)
適応年齢生後6か月~
IL4/13を抑えることで皮膚の炎症と痒みを抑え皮膚症状を改善していく製剤です。体重により月1回から2回の注射を継続します。
アトピー性皮膚炎と食物アレルギーについて
皮膚バリアのこわれたカサカサ部位や湿疹部位に直接タンパク質が接触することによって感作が成立(経皮感作)し、食物アレルギーを引き起こす可能性を高めることが分かっています。
皮膚のバリアが壊れてしまった場合は、経皮感作を防ぐための保湿剤とステロイド外用により炎症をおさえて正常皮膚に早く戻し維持することが大切です。
アトピー性皮膚炎のお子さまの離乳食開始月齢を遅らせる必要はありませんが、皮膚の状態によっては先に血液検査をしてから開始したほうがいい場合もあります。ご相談ください。
まずは、アトピー素因のあるお子さまは乳児期早期から皮膚バリアを壊さないようにし、皮膚から直接体内へタンパク質が入るのを防御することが食物アレルギー発症予防には重要であり、出生早期からのスキンケアが非常に大切となります。
ALLERGIC RHINITIS.アレルギー性鼻炎
年中(通年性)の鼻炎症状・夜眠れない鼻閉・鼻をよく触るなどはダニが原因かもしれません。
またスギ花粉飛散時期に毎年薬が必要な方、薬以外の治療があります。
舌下免疫療法はダニによる鼻炎やスギ花粉症を治す可能性がある治療です。成人の方も受け付けております。
重症スギ花粉症の方へ
毎年ひどいスギ花粉で飲み薬や点鼻薬を使ってもよくならない(12才以上の小児の方・成人の方)には、スギ花粉の時期の注射(抗体療法 ゾレア)で症状を改善できます。ぜひスギ花粉飛散の始まる前にご相談ください。
症状
- くしゃみ
- 鼻水
- 鼻づまり
症状の出る状態によって大きく2つに分けます(両方ある方も多いです)。
通年性
季節に関係なく上記症状を認める(子供に特に多い)
〈原因〉
ダニ・ハウスダスト(ペットの毛やフケ、ゴキブリなどの昆虫)
※ダニアレルギーの場合はダニが増える梅雨の時期と寒さでダニの死骸が増える秋(ちょうど季節の変わり目)に症状が特にひどくなります。
季節性
いわゆる花粉症です。花粉の飛んでいる時期に上記症状を認めます。
目のかゆみや充血などアレルギー性結膜炎もしばしば合併します。
〈原因〉
スギ・ヒノキ・ブタクサ・カモガヤなど
治療方法
原因物質からの回避及び除去が第一となります。原因がなにか当クリニックでは血液検査で調べます。
以下、小児科で出来る治療をお伝えします。
- 原因物質からの回避および除去と症状が出たらすぐ治療
- ダニが原因であればダニが繁殖しやすい布製のもの(カーペット.布製のクッション・ソファ・ぬいぐるみ)を極力減らしましょう。ダニは寝具が大好きです。布団を定期的に掃除機で掃除しましょう。不織布のシーツや布団カバーはダニを通さないのでお勧めです。ダニは高温にならないと死滅しません。ダニ退治機能のある布団乾燥機はダニの数を減らすのに効果的です。
- 花粉が原因の場合、花粉飛散時期はできるだけ粘膜から入る量をへらす(眼鏡・マスク)と外から持ち込まない(服装はできれば上着はナイロン製を羽織る、洗濯物・布団を外に干さないなど)。
痒い(目でも鼻でも)と感じたらすぐ治療開始(内服・点眼・点鼻)です。まだひどくないから…では遅いのです。すぐ受診をして治療を開始してください。
- 内服薬・点鼻薬
症状を抑えるための対症療法です。
最近は眠気があまり出ない内服薬もでてきました。点鼻薬は鼻閉の強いお子さまにはよく効きます。 - アレルゲン免疫療法
3~5年の治療が必要です。ただし根治的治療になる可能性があります。内服や点鼻をやめられる可能性があります。やめてからも個人差はありますが、効果がある程度持続します。
- 皮下免疫療法
アレルギーの原因となるアレルゲンのエキスを少しずつ皮下に注射して体を慣らしていく方法です。1000〜4000回に1回アナフィラキシーを起こすリスクがあります。(当クリニックではやっておりません) - 舌下免疫療法
ダニ・スギのみしかありませんが、エキスの錠剤を舌下に入れて溶け出すことにより舌下から体内にアレルゲンを少しずつ取り込み体を慣らしていく方法です。内服のため自宅でできます。比較的安全な方法でお子さまに合う治療法です。舌下に錠剤を入れて1分間保持できること、症状を言葉で伝えられるお子さまなら治療可能です。ご両親がダニやスギのアレルギーがあるならお子さまと一緒に治療ができます。
- 生物学的製剤(抗体療法)
重症・最重症スギ花粉症に対しての新しい治療法です。効果の高い治療ですが花粉の飛んでいる時期のみ保険適応です。保険を使ってもやや高価な治療となります。
当クリニックでも治療可能です。成人の方も受け付けております。
生物学的製剤抗IgE抗体製剤(重症スギ花粉症):ゾレア
ゾレア治療対象となる方
以下の項目すべてが当てはまる方となります。
- 12歳以上であること
- 昨年のスギ花粉の時期に点鼻薬と抗アレルギー剤を内服したが重症であった方
- 今シーズンもスギ花粉症状が重症で点鼻薬と抗アレルギー剤の内服を併用し1週間以上治療しても症状の改善ない方
- 血液検査でスギ花粉症が証明され、血清特異的IgE抗体がクラス3以上かつ血清中総IgE濃度が30~1,500IU/mLの方
- 体重が20~150kgの範囲の方
※スギ花粉重症とは、くしゃみ11回以上/日、もしくは鼻かみ11回以上/日、もしくは鼻づまりで1日中もしくはかなりの時間口呼吸であることです。
ゾレアの副作用
主な副作用は、注射部位の反応です。注射した場所が赤くなったり、腫れたりする症状です。 重篤な副作用として数は多くありませんがアナフィラキシーがあります。ご心配の方はご相談ください。
ASTHMA.喘息
気管支喘息とは
喘息は何らかの要因により、気道が慢性の炎症をおこすことで、気道が狭くなっている状態です。
咳や息を吐くときにヒューヒュー、ゼーゼーと聞こえたり、さらに悪化すると呼気の延長を認め、呼吸が苦しくなる状態を繰り返します。
喘息になりやすい人とは?
両親がアレルギー体質などの遺伝的要因やアトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎などをお持ちのアレルギー体質の方、および肥満の方は喘息のハイリスクとなります。
さらに環境因子 (ダニ、ホコリ、タバコの煙、ペットのフケ、大気汚染物質)が加わると、気道が刺激され喘息が発症すると考えられています。
喘息の症状は?
呼気のヒューヒューゼーゼー。
朝方や夜に咳でよく目が覚める。
運動、冷たい空気、大笑いあるいはアレルゲンを吸い込むことが誘因となり毎回咳やゼーゼーが出現する。
横になると息が苦しく、体を起こすと咳が楽になる。
喘息の診断
症状と以下に示した検査を組み合わせて診断します。
慢性の咳を合併する疾患
喘息以外にもたくさんあり、鑑別が必要です。
- 副鼻腔炎による後鼻漏(慢性咳の原因として割と頻度の高い疾患です)
- マイコプラズマや百日咳などの感染症
- 胃酸の逆流
- ピーナッツ・豆まきの豆など小さいものの誤嚥による誤嚥性肺炎
- 心臓の病気による肺水腫(座ると軽減します)
- チック(咳払いはよく見られます。眠っているときには咳がないのが特徴です)など
喘息で行う検査
- 血液検査
アレルギー体質を持っているかどうかを調べます。原因として多いダニ・花粉・ネコ・イヌなどの抗体を持っているか調べます。 - 呼吸機能検査
スパイロメーターを使って肺活量や息の吐くスピードを測定します。
肺機能を数値で知ることができ、客観的に評価できます。
思いっきり吸い込んだ息を1秒間で思いっきり吐き出す検査をします。
喘息の人は1秒間で吐くスピードが落ちています。治療がうまくいくとこの吐くスピードが改善します。
この検査は喘息の診断だけでなく、治療がうまくいっているかどうか、薬を減らすことができるのか、あるいは追加変更が必要なのかを判断する大事な検査になります。
ちょっとむずかしいので5歳ごろからできる検査となります。
使用する医療機器
- 呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)の測定
気道炎症があると呼気の一酸化窒素濃度が上昇します。
喘息の診断や選択する治療薬を決める際の指標となります。
ステロイド吸入がうまくできているかの評価の参考にもなる検査です。
ちょっとコツのいる検査ですので5歳ごろからできる検査となります。
使用する医療機器
- ピークフローメーター
自宅で吐くスピードを測定することのできる簡単な機器をお渡しします(保険適応あり)。毎日記録をつけてることで喘息のコントロールの状態を知ることができます。数値で測定できますのでお子さんの毎日の状態を客観的に知ることができます。普段の状態の良い時の数値を知っておくことでお子さんに夜間のせき込み、ゼーゼーが出たときピークフローを測定することで軽症か重症か、救急受診が必要かなどの判断材料の一助となります。
喘息の管理と治療について
治療の目標
普段通りの生活をしても全く症状が出ない状態、呼吸機能が正常に保たれる状態、朝夜咳で起きることのない状態になることです。
喘息管理
毎日ピークフローを朝夜測定し、測定値を記入します。咳があった日を記録します。
めんどくさそうですが育児日記のようなものと思ってやってみてください。
受診
最初は1~2週間に1回受診をしていただき、薬があっているか、吸入やピークフローが上手にできているかを確認します。
状態が安定すれば、その後は1~2ヶ月に1回のフォロー受診となります。
薬
年齢と発作の重症度と1か月の発作の頻度で決めていきます。
ガイドラインに沿って治療を進めていきます。
喘息治療薬は場面により大きく2つに分かれます。
- 長期管理薬(症状がない時も続ける薬)
喘息治療の柱となります。気道炎症を抑え、発作の全くない状態をつくる根幹を担います。
月単位あるいは年単位で使用します。
内服と吸入があります。 - 発作時だけに使用する発作薬(短期追加治療薬)
発作が出たときあるいは発作がでたあと数日間のみ使用する薬です。
1週間以上使用してもよくならない場合は喘息の状態を把握する必要があります。
喘息ではない可能性もあり定期受診とは別に受診が必要です。
内服と吸入と貼り薬があります。
喘息はきちんと治療をすれば治る病気になってきました。
喘息の治療管理は長期で、症状もないのに毎日やることが減らないなど、お忙しい親御さんや思春期の学生さんには大変ではありますが、大人になってから死ぬまでの肺機能を維持するために重要です。一緒にがんばりましょう。
乳児期のゼーゼーについて
乳児期のゼーゼーは喘息かそうでないのかの区別が難しいのが現状です。乳児の気道はもともと狭く、分泌物も多いため風邪を引いただけでも気道が狭くなりゼーゼーが出現しやすくなります。
胃酸の逆流や心臓疾患により喘息とよく似た症状を呈することがあるので鑑別が必要です。客観的検査としての呼吸機能検査が乳幼児はできないため、喘息が疑われる時は喘息薬を使ってみて良くなるか、やめると再燃してくるかを見て乳幼児喘息と診断します。
乳幼児の喘息は適切に治療をすれば小学校に上がる前にほとんどのお子さんが治ります。
喘息と診断されたからといってがっかりしたり、もう治らないとあきらめる必要はありません。
家族内喫煙について
家族の中にたばこを吸われる方がいると、たばこの煙成分を吸い込んだお子さんの気道に炎症がおこります。慢性的にたばこの成分を吸い見込むことで引き起こされた気道炎症は慢性気道炎症となり、アレルギー性鼻炎や、気管支喘息への発症につながります。
小児期に繰り返し受けたたばこによる気道の刺激はお子さんの肺の成長を阻害し、成人になっても喘息が治らない状態を作ります。
たばこはご家族の努力によりすぐ改善できる環境因子です。お子さんのいるご家族の方、これからお子さんを迎えるご家族の方は、お子さんの生涯の健康に対する投資として、禁煙は大変ですがチャレンジしてください。
ペットについて
アレルギーのある方は新たにペットを飼うのはやめた方がいいでしょう。 どうしても飼うならお外で飼うのがベストですが...。
現在ペットを飼っている方は、ペットと一緒に楽しく暮らすために、ペットの毛やフケがつきやすい布製のもの(絨毯、カーテン、布製ソファー、クッション、ぬいぐるみ)をできるだけ減らしてください。お家の掃除もこまめにしましょう。
ペットはかわいいですが、ペットと一緒の部屋で寝るのはやめましょう。
そして現在飼っているペットは、今まで通り大切にしてあげてください。
FOOD ALLERGIES.食物アレルギー
食物アレルギーの定義
⾷物アレルギーとは、「⾷物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して⽣体にとって不利益な症状が惹起される現象」です。⾮免疫学的機序による⾷物不耐症(代謝性疾患、薬理学的な反応、毒性⾷物による反応など)は含みません。
例:乳糖不耐症
古い青魚で起こるヒスタミン遊離による蕁麻疹などは食物アレルギーに含みません。
診断
即時型の場合
問診より疑わしい食物の特異的IgE抗体の血液検査あるいは皮膚テストを行い原因食物を決定します。
テストが陰性の場合は経口負荷テストにより原因食物を特定します。
慢性の湿疹がある場合
ステロイド外用をして湿疹が治るかどうかを見ます。なかなか治らない場合は血液検査あるいは皮膚テストを施行し、検査で疑わしい食物を除去して皮疹の軽快があるかを確認します。経口負荷テストで確定診断とします。
食物アレルギーの発症リスク因子
- 家族歴:両親、兄弟に食物アレルギーの既往のお子さん
- 皮膚バリア機能の低下
- 短い日光照射
- 食物アレルゲンの多い環境
食物アレルギーの予防について
- お母さんはバランスよく栄養をとりましょう。お子さんの食物アレルギーの予防と考え、妊娠中や授乳中の母親がアレルゲンの高いものを控えることは、お子さんの将来の食物アレルギー発症予防にはなりません。
- お子さんの離乳食は5〜6ヶ月から始めましょう。バランスよく月齢にあった食材を始めていきましょう。
お子さんの食物アレルギー予防のために離乳食を遅らせることは推奨されておりません。
- かゆみを伴う湿疹がある場合は、早期に湿疹の治療を開始し、離乳食開始までに湿疹をきれいにしましょう。
- 完全母乳栄養がミルクアレルギー予防にはならないようです。必要であればミルクを足してください。
食物アレルギーと診断された親御さまへ
食物アレルギーはここ数年で完全除去から食べて治すに大きく考え方が変わりました。ただしこれは、『血液検査で陰性になるまで完全除去、陰性になったら除去解除で食べ始める』ということから、『検査で陽性が出たとしても、程度によっては安全量を確認したうえで安全量を食べていく』という方針に代わったという事です。アナフィラキシーを起こしたお子さんや、血液検査でアナフィラキシーを起こすかもしれないほどのリスクの高いお子さんであれば食べないで半年ほど除去、あるいは今まで食べられていた量を増量せずに続けることを選択します。現在でも血液検査だけでアナフィラキシーを起こすのか起こさないのか、起こさない量はどれくらいかを見極めるのはまだまだ難しいのが現状です。
乳幼児期の食物アレルギーとして多い卵・乳・小麦・大豆は年齢とともに食べられるようなることが多く、小学校に上がる頃にはほとんどのお子さんが食べられるようになります。食物アレルギーと診断されたお子さんは医療機関で細かく丁寧にフォローしてもらい、過度な心配をせず、焦らずしかし慎重にバランスよく離乳食を進めていきましょう。わからないことがあれば、まず相談に来てください。
食物アレルギーと診断されたお子さんの保育園での給食について
保育園は一度にたくさんのお子さんをみていかなければならない場所であり、個々の食材の細かい対応は大変難しいことです。自宅で一人前量を食べられるようになるまでは保育園の給食では原因食材の除去が、お子さんにとっても預かる保育者にとっても安全で安心な方法です。
食物アレルギー児の離乳食のすすめ方
- 食物アレルギーでも、離乳食の開始や進行を遅らせることによるメリットはなく、除去指示のない食材はバランスよく食べさせましょう。
- 初めての食物を与えるときは、お子さんの体調のよいときに、新鮮な食材を、充分に加熱し、少量から始めてみてください。
できるだけ医療機関を受診できる時間に与えるのがお薦めです。 - 卵除去のお子さんはタンパク質が少なくなりがちになりますので他の食材(肉 魚 大豆など)で補うようにしましょう。
- 乳除去のお子さんはカルシウムが不足するため、他の食材で補うようにしましょう。
例:牛乳を使う料理をアレルギー用ミルクで作る。しらす干し、ひじき、小松菜、豆乳などをとりいれましょう。
卵黄早期摂取の指導により卵黄を5〜6か月から食べる機会が増え、卵黄が原因と考えられるFPIESの報告が増えました。この疾患と診断された場合は一定期間卵黄は除去となります。ケースによっては卵白を先に摂取開始とすることもありますし、全卵除去としたほうがよい場合もあります。
乳児期早期にみられる血便のみで体重減少を伴わない軽症から繰り返す嘔吐、体重増加不良をともなう重症例もあります。
母乳をいったん中止し、症状が軽快するかどうかの確認をします。ただしこの時期に認められる嘔吐血便はその他多数の疾患を除外する必要があり、慎重な判断が必要となります。
新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症(FPIES)
一定期間の食物除去が治療となる疾患です。
血液検査でアレルギーは陰性(一部陽性もあり)ですが、新生児・乳児期早期に繰り返す嘔吐・血便あるいは離乳食が始まってから特定の食品を摂取するとある程度時間がたって(多くは1〜4時間)から嘔吐 活気不良 そのあと下痢をし、翌日にはけろっとしている。
アナフィラキシー症状がないからといって少量ずつ食べ続けてくださいと指導されている場合があります。この疾患の場合は少量を食べ続ける治療では治りません。一定期間の除去が必要です。予後は比較的よく、一生食べられないことはなく、負荷試験をして1歳〜2歳ごろまでにほとんどのお子さんが食べられるようになります。
症状
- 急性
新生児から乳児期において特定の食物を摂取したあと1〜4時間以内に繰り返す嘔吐・顔面蒼白・活発不良が認められる。下痢は24時間以内多くは5〜10時間で発症し原因食物除去後24時間で改善する。成長障害なし。食物をやめている間は症状なし。 - 慢性
原因食物を連日摂取にて発症。間欠的嘔吐・慢性下痢・体重増加不良が認められる。
原因食物を除去後3〜10日で軽快。再開すると急性症状が出現する。
腸管のみに出現する新生児早期および乳児期全般に出現の腸症FPIAPや慢性下痢と体重増加不良・吸収障害を伴うFPEがある。
原因となる食物
- 牛乳
- 豆乳
- 母乳
- 固形米
- 大豆
- 鶏卵
- 小麦 など
診断
血液検査で測定できる特異的IgE抗体の陽性率は低く、陰性であることがしばしば認められるため、血液検査が陰性ということで否定はでません。陰性だからと言って食べていくことで軽快するものではありません。
好酸球関連の検査として血液・便検査がありますが、標準化がまだできていません。
食物除去試験と負荷試験で診断します。
治療
原因食物の除去です。牛乳が原因の場合はミルクアレルゲン除去ミルク(加水分解乳:中でも分子量の小さいものやアミノ酸乳 大豆調整乳)に変更します。
時期をみて負荷テストを少量から行い原因食物の解除をしていきます。
予後
割と良く、2歳ごろにはほぼ原因食物を摂取できるようになります。
花粉が関連する食物アレルギー(PFAS)
新鮮な果物を食べた直後に口や喉がピリピリする・痒くなる・唇が腫れるといった主に口腔内のアレルギー症状を呈します。一部に最終的にアナフィラキシーに進展する方がおり、注意が必要です。カバノキ科花粉(シラカンバ・ハンノキ)、イネ科(カモガヤ・オオアワガエリ)、キク科花粉(ブタクサ、ヨモギ)に感作されている人が花粉と交差抗原性を持った果物を食べると発症します。比較的熱に弱いので生では食べられませんが、加熱をしたもの、缶詰であれば食べられることが多いです。豆乳やセロリ、スパイスではアナフィラキシーショックなど重篤な全身症状を呈することがあり注意が必要です。
普段大丈夫であっても以下のような条件下ではアナフィラキシーを起こすことがあり注意が必要です。
- 胃腸炎の時や疲れているとき
- 摂食前後で激しい運動をした場合
- 原因花粉の飛散時期の果物の摂取
原因となる果物
- バラ科果物(リンゴ、モモ、サクランボなど)マメ科:カバノキ科花粉(関西ではハンノキ:主に春に飛ぶ花粉です)が関連
- ウリ科果物(メロン、スイカなど):イネ科花粉(主に夏から秋)が関連
- セリ科野菜:キク科花粉(主に秋)が関連
診断
血液検査や原因の新鮮果物を使って皮膚テストをして診断します。
HIVES.蕁麻疹
蕁麻疹とは
蕁麻疹は蚊に刺されたような皮膚のふくらみを持った紅斑が(膨疹)が一過性に限局性に認められ(でたり引っ込んだり場所をかえてまたでたりする)、多くはかゆみがある湿疹です。膨疹は全身どこでも出現する可能性があり、瞼や唇の腫れを伴う場合もあります。ここでは子供によくみられる特発性蕁麻疹について記述します。
原因
風邪などの体調不良・疲労・ストレスなどが原因となります。
ほぼ毎日出没し、膨疹は、小豆大程度のものから地図状の大きな膨疹を認める場合もあります。皮疹の持続時間は数十分から数時間以内が多いですが、2~3 日持続する例もあります。6 週間以内のものを急性蕁麻疹、6 週間を 越えたものを慢性蕁麻疹と分類します。
急性蕁麻疹
小児で一番多い蕁麻疹です。風邪など体調不良の時出現し、ほとんどは体調が治ると蕁麻疹も消退していきます。
蕁麻疹なので体温が上がると出てきます。食後・風呂上り・朝起きたときなどに出てきます。
食事が原因かもとアレルギー検査をしてもなにも出ないことがほとんどです。
治療をすると多くは1か月で治ってしまいます。
6週を超えても治らない蕁麻疹は慢性蕁麻疹となり時に数年、治癒にかかることもあります。
6週超えて治らない場合は、蕁麻疹の原因がないか検査が必要になることもあります。
REFERENCE.参考記事
小児ぜん息基礎知識
ぜん息とは? 増悪因子は? 発作時の対応は? 災害時どうしたらいい? 予防は? など喘息について一通り書かれています。
絵で分かりやすく説明してあります。
出典:独立行政法人 環境再生保全機構
小児喘息治療ガイドライン患者向け2020
患者さん向けにコンパクトにまとめた分かり易い小児喘息ガイドラインの解説書です。
出典:一般社団法人 日本小児アレルギー学会
ぜんそく学習帳『めざせ! 発作ゼロ』作戦
出典:独立行政法人 環境再生保全機構
食物アレルギーの子供のためのレシピ集
※お子さまのアレルギー材料が入ってないか確認の必要があります。
出典:独立行政法人 環境再生保全機構