思春期の相談

ADOLESCENCE.思春期の相談について

大人になる準備段階の時期です。ホルモンの変化により体調を崩すことはよくあります。頭痛、朝になるとおなかが痛い、なんとなく体がだるい、朝起きられない、夜なかなか眠れない、などは思春期のお子さまによく見られる症状です。
まずはご相談ください。

画像:思春期の相談についてイメージ

こんなお悩み
ありませんか?

思春期のお悩み

朝起きられない・夜眠れない

画像:朝起きれない
画像:夜眠れない
〈思春期に入ってから〉
  • 朝起きられなくて学校にいけなくなった
  • なんとか行けているが遅刻がち
  • でも夕方になると元気になる
〈症状として〉
  • 立ちくらみがでる
  • 気持ちが悪い
  • 頭痛がつづく
  • 体がだるくてたまらない
  • 立つことができない
  • 横になっていると大丈夫だが座ると症状が悪化する
  • 朝おきられず昼過ぎまでねていて、昼夜逆転し夜眠れない

上記症状が出てきた場合、単なる怠けや甘えではなく、自律神経機能不全による上半身への血流低下によっておこる起立性調節障害かもしれません。
根性でなおる、気合でなおせるものではありません。コロナ禍では外出自粛と運動不足により急激にふえています。日常生活を見直してみましょう。
3か月以上不登校の続いているお子さまは体の評価だけでなく、精神科・心療内科医による心理社会的関与の評価が必要となります。

  • 起立性調節障害(OD)とは
    1. 立ちくらみ、失神、気分不良、朝起床困難、頭痛、腹痛、動悸、午前中に調子が悪く午後に回復する、食欲不振、車酔い、顔色が悪いなどのうち、3つ以上、あるいは2つ以上でも症状が強ければ起立性調節障害を疑います。
    2. 鉄欠乏性貧血・心疾患・てんかんなどの神経疾患、副腎・甲状腺など内分泌疾患など、基礎疾患を除外します。
    3. 新起立試験を実施し、以下のサブタイプを判定します。
      1)起立直後性低血圧(軽症型、重症型)
      2)体位性頻脈症候群
      3)血管迷走神経性失神
      4)遷延性起立性低血圧
    使用する医療機器
日常生活で気を付けること
  • まず水分を多く取りましょう(1日1.5〜2ℓ)。
  • 塩分は多めにとります。いつもの食事に3g程余分にとるだけで効果がでます。
  • 寝た状態や座った位置から、急に立ち上がってはいけません。30秒以上かけてゆっくりと。
  • 朝起きるときには、頭を下げたまま、歩き始めてください(ゾンビ歩行)。頭を上げて立ち上がると脳血流が低下して気分が悪くなります。一度気分が悪くなると、なかなか直りません。
  • 早寝早起きなど生活リズムを正しくしましょう。
  • だるくても日中は、身体を横にしてはいけません(頭は心臓より上です)。
  • 暑気は避けてください。学校の体育の見学は日影か室内で。
〈治療〉
  • 毎日運動しましょう。無理をせず、15分程の散歩から始めます。水泳は身体にかかる重力が少ないので、おすすめです。
  • 起立性調節障害の治療の土台は睡眠リズムの改善・充分な水分と塩分・バランスの良い食事の摂取・適度な運動と家族の温かい理解です。必要であれば血圧をあげる薬を使用します。まずお子様の普段の生活についてお聞きし、改善点を探します。ご相談ください。
お家の方へ 朝起こすときの注意
  • 朝起こすとき、何回か声かけをする、でも怒らない。
  • カーテンを開けて朝陽を部屋に入れ布団をはがす。
  • 夜は眠くなくても30分早く布団に入るよう促し、消灯。

繰り返す頭痛や腹痛

画像:繰り返す頭痛
画像:繰り返す腹痛
〈頭痛について〉

「頭痛の原因は何か」、「どうすれば頭痛がよくなるか」、「命を脅かす病気は無いのか」を念頭に入れながら診察していきます。画像検査が必要と判断した場合は画像診断のできる施設へ紹介します。
繰り返す頭痛として代表的な頭痛の2つのタイプとして片頭痛と緊張型頭痛とがあります。

  • 片頭痛
    発作性にはじまり、2~72時間継続する血管の拡張に伴う拍動性の激しい痛みです。吐き気や嘔吐を伴い、光過敏、音過敏、臭い過敏といった症状もみられます。頭痛の「前兆」として、目の前にキラキラした光が見える人もいます。身体を動かすと増悪し、寝すぎると出やすいなど、週末寝坊をしたりすると出現します。
  • 緊張型頭痛
    年長児に多くみられます。慢性的な痛みで拍動性が無く、身体を動かしても変化しない、心身の緊張に伴う、肩こりを合併するなどの特徴があります。また、寝不足などで起こりやすくなります。
  • 薬物乱用頭痛
    頭痛もちの方が鎮痛薬を月に10日以上、あるいは週2~3日以上を毎週の様に服用していると起こる頭痛です。薬局で市販されている鎮痛薬でも比較的起こし易く注意が必要です。
〈自宅でできる頭痛予防〉
  • 休日も平日と同じ時間に起き、同じ時間に寝ることを心がけましょう。
  • 夜は暗く静かな部屋でゆっくりと休みましょう。
  • 寝る前2時間はスマホをやめましょう。
  • 高過ぎる枕は避けましょう。
  • 定期的に体を動かしましょう。
頭痛の誘発因子

以下をヒントにご自分の誘発因子をさがしてください。

  • 精神的因子:ストレス、精神的緊張、疲れ、睡眠不足、睡眠過多(昼まで寝ている)
  • 内因性因子:月経周期(月経の始まり 排卵前後など)
  • 環境因子:天候の変化(気圧の変化)、温度差、激しい運動、人ごみ、におい
  • 食事性因子:空腹(低血糖)、ベーコン、ソーセージ、チョコレート、チーズ、カフェインのとりすぎ
〈くり返す腹痛〉

以下の症状がある場合はすぐに精査が必要となります。

  • 右下または右上腹部痛
  • 嚥下困難
  • 遷延性嘔吐
  • 消化管出血
  • 炎症性腸疾患や消化性潰瘍の家族歴
  • 眠りを妨げる夜間の腹痛
  • 夜間の下痢
  • 関節痛
  • 肛門病変・口内炎
  • 体重減少
  • 発育遅延
  • 思春期発来遅延
  • 不明熱(熱源のわからない発熱がつづく場合)

明らかな上記徴候がなく、腹痛を繰り返す場合、代表的なものに、年少児に多い反復性腹痛(Recurrent abdominal pain:RAP)と、思春期以降に多い過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)があげられます。

  • 過敏性腸症候群について
    過敏性腸症候群は成人ではよくみられる疾患です。大事な会議の前やテスト前などストレスを感じるとおなかが痛くなってトイレに駆け込むというエピソードを耳にしたことは皆さんありませんか。
    原因は完全に明らかにはなっていませんが、腸脳相関の異常が大きくかかわっているといわれています。ストレスが下垂体でストレス関連ホルモン(CRF:corticotropin releasing factor)を産生させ、中枢神経を介して腸管神経系に働き、消化管の運動異常をおこし、便通異常を来します。さらに、消化管の内臓知覚過敏や知覚閾値を低下させ、腹痛を感じやすくなります。腹痛頻度や程度がひどくなることからお腹が痛くなったらどうしようと不安が増大し、それがストレスとなり腸と脳で負の連鎖が繰り返され症状が慢性化していきます。
    不登校の原因の一つとなる場合もあります。
〈診断〉

下記のすべての項目があること。

  1. 腹部不快感(痛みとはいえない不快な気分)または腹痛が、下記の2項目以上を少なくとも25%の割合で伴う。
    a)排便によって症状が軽減する
    b)発症時に排便頻度の変化がある
    c)発症時に便形状(外観)の変化がある
  2. 症状を説明する炎症性、形態的、代謝性、腫瘍性病変がない。
    2ヶ月以上前から症状があり、少なくとも週1回以上、基準を満たしていること。
〈治療の第一歩〉

正常排便のメカニズムをよく理解し、そのイメージをしっかり持ち毎朝十分な時間をとってトイレにいきましょう。
食事・生活リズムを整えることが大切です。排便日記をつけると客観的にみることができます。
何がストレスになっているのかを考えてみることも大切です。
上記でうまくいかない場合、症状が強い場合は内服薬も併用します。

  • 正常な排便のメカニズム:食物が胃に入る刺激によって、便塊を肛門側に送り出す強い蠕動(ぜんどう)が結腸に起こる反応(胃結腸反射)がおこり、便塊が直腸に至り、直腸内が一定の圧に達すると便意が生じ、肛門括約筋の弛緩(直腸肛門反射)がおこり便が排泄されます。胃結腸反射は毎食後に起こりますが、通常は朝が最も強く出現し、この際に排便が行われます。